「TOEIC® L&R TESTのスコアは高いのに、ビジネスの現場で英語があまり話せない人材が多い」―――。
この課題解決のカギとなるのが、近年多くの企業で導入が進んでいる「英語スピーキングテスト」です。
以下では、英語スピーキングテストとは何か、どんな種類があるのか、人材登用や人材育成においてどんなメリットがあるのかについて、ご紹介しています。
スピーキングテストの導入を初めて検討されているHRご担当者様、現在採用している英語力評価制度が十分ではないと感じているHRご担当者様は、ぜひご一読ください。
スピーキングテストとは、英語を口頭でアウトプットする力を測るテストです。
車の運転免許試験には、座学で学科教習を受けて、その「知識」を測る学科試験と、実際に車を運転する「スキル」を測る技能試験がありますが、英語も同様に考えるとイメージしやすいと思います。
運転免許の学科試験のように、英語の「知識」を測るのに適しているのが、TOEIC® L&R TESTのような試験です。これに対して、運転免許の技能試験と同じように、実践でいかに英語を話せるかという「スピーキングスキル」、口頭による英語の運用能力を測るのが、スピーキングテストです。
日本の多くの企業では、社員の英語力を測る指標として、TOEIC® L&R TESTのような試験を社内英検として採用しています。しかし、「高い点数を取っているのに、実際のビジネスの場で、思うように英語が話せない」という話をよく聞きます。
たとえば高得点とされる800点以上を取るような人のなかにも、海外出張や海外赴任に即、対応できる人から、国内であっても仕事上の英語のやり取りが難しい人まで、スピーキングの力には非常にばらつきがあります。
スピーキング力を測らないテストというのは、技能試験がない運転免許試験のようなものです。車が動く仕組みも、交通法規も、知識はすべて頭に入っていても、ハンドルを握って道路に出たときの、運転技術は未知数です。
これまで「知識」を測る英語の試験は実施していても、「スキル」を測るスピーキングテストまで実施していないケースが多く、近年このスピーキングテストに大きな注目が集まっています。
多くの企業が導入している同テストは、知名度が高く、世界中で信頼されている英語力評価テストです。「聞く」英語力と、「読む」英語力を測定することができます。
同テストには、スピーキングやライティングの試験もありますが、日本ではリスニングとリーディング試験の受験者が圧倒的に多く、ビジネスパーソンでもそちらをイメージする人が多いようです。
受験結果は、10点から990点まで、5点刻みで表示されますので、学習による力の伸びが見えやすく、この点も多くの企業で採用されている理由でしょう。
<参考>
日本でTOEIC® Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の発表によると、2020年度のTOEIC® Programの総受験者数は約169万人。うち、TOEIC® L&R TESTの受験者数が、約153万3,000人を占めています。
https://www.iibc-global.org/iibc/press/2021/p172.html
関連記事:書く・話す力は、自分でこう伸ばす!英語のアウトプット強化法
HR担当者の目線で見ると、せっかく社内英検を導入して社員の英語力向上を図っているのに、思ったほど成果が上がらないという悩みがあります。「テストで高得点を取っているのに、実際のビジネスの場では、期待したほど英語が話せない人材が多い」というのです。つまり、「必要な英語力が適切に測れていない印象を受ける」という問題です。
こういったテストは、英語の‘基礎体力’を測るのに優れています。しかし、「英語の知識=スピーキング力」ではないため、人事が本当に知りたい「社員の英語コミュニケーション力」は把握できません。どの社員にどの程度、英語でのビジネスにおける即戦力があるのかといったデータも蓄積されず、適切な人員配置や海外要員の選抜に活用できないという、ジレンマにつながっています。
ひるがえって受験者からは、「仕事のかたわら時間と労力をかけて勉強し、高得点を取ったのに、仕事でのスピーキング力が伴わない」という声が聞こえてきます。努力が実践力の向上につながっていないため、当人のモチベーションや、継続的なスキルアップにも、マイナスの影響が出かねません。
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人事が知りたい社員の英語力の実態と、今採用している試験で測定できる英語力の間に、ミスマッチやギャップはないでしょうか。心当たりがある場合は、早急な解決が必要です。ビジネスの現場で求められる社員のスピーキング力獲得に向け、スピーキングテストの導入が一助となります。
「読む・聞く」力を測る試験に、スピーキングテストを加えることで、「英語の知識≠英語を話す力」であることが、改めてはっきりと実感できます。それが新しいスタートラインです。
スピーキングテストを通じて、社員のスピーキング力を把握することで、人事管理や人材育成において、また受験者自身にとっても、さまざまなメリットが生まれます。
社員の英語スピーキング力を適切に診断することで、以下のような場面で適材適所の人材活用が可能になります。
社員の英語スピーキング力を適切に診断することは、効果的な人材育成にもつながります。
海外赴任者のような非常に高い英語力が求められるポジション以外でも、ビジネスで英語を使う場面は様々な職種や仕事の現場へと広がっています。あらゆるビジネスパーソンが「仕事で英語を話すことは、もはや当たり前なのだ」という意識を持つことはとても重要です。しかし、そのすべての人が同じレベルの英語力を目指す必要はありません。
そもそもビジネスにおいて英語は、業務を滞りなく進めるためのツールです。ネイティブ並みの英語が必要な職種もある一方、多くの場合は仕事の相手はネイティブスピーカーとは限らず、ノンネイティブ同士で円滑にコミュニケーションがとれれば十分業務遂行可能です。
HR担当者はこうした実情を念頭に、業務の内容とそこで必要な英語コミュニケーション能力を判断し、個々の社員の現在の力に応じた人材育成が可能になります。
「知識」を測るテストで高得点を取っても、英語を話す力が伴わないと感じていた受験者は、スピーキングテストを受験することで、自分の現段階での話す力がどのくらいなのか客観的に把握できます。
これまでの英語学習を通じて得た英語の知識と、それをアウトプットする力とのギャップを認識することで、次に何をすべきかが明確になり、学習のモチベーションアップにつながります。弱点であったアウトプット力を強化していけば、頭の引き出しに蓄えた膨大な英語の知識が、素早く適切に、実践の場で活かせるようになるでしょう。
この繰り返しで好循環が生まれます。受験者が目標に向かって努力した結果が、仕事上でのスピーキング力の向上に直結します。
グローバル化が進む今日、コミュニケーション力測定のニーズも高まり、今では多様なスピーキングテストが開発され、目的に応じて選ぶことが可能です。ただ、初めてスピーキングテストを導入する場合、各テストの違いや、何を基準に選べばよいのかなど、わかりにくい面もあるかと思います。
以下では、試験方式、評価基準、結果の出方などを取り上げながら、スピーキングテストにはどのような違いがあるのかをご紹介します。これらの要素について比較検討し、あなたの会社に適したスピーキングテストの選択にお役立てください。
試験方式は、試験官(人間)の質問に答えるものと、自動出題に答えるものの2種類です。テストによって、使用するデバイスが異なります。
具体的なテストの内容を見ると、ビジネスシーンに関連を持たせてプレゼンテーションやグラフの説明などを含むものと、あえてビジネスに特化していないものがあります。
ビジネスパーソンが受験する場合、ビジネス特化型のテストが望ましいと考えがちですが、ビジネス経験の有無や長短が結果に影響する可能性があることも考慮しましょう。
ところで私たちは、あまり意識せずに「ビジネス英語」という言い方をしますが、ビジネス英語も英語であることに変わりはありません。スピーキングの力全体が伸びれば、当然その力はビジネスシーンでも発揮されるようになります。
スピーキングテストの評価基準は、他の英語テストとは異なります。「話す力」を測るテストとひと口に言うのは簡単ですが、スピーキングとは、話す内容を自分自身で組み立てて、それを英語のルールに従ってアウトプットする複雑な行為です。英語やコミュニケーションに関わる、さまざまな技能や知識が使われますから、スピーキングテストの評価基準は多角的です。どんな点がチェックされるのか、見てみましょう。
全てのスピーキングテストで、上記全てが評価の対象になっているわけではなく、文法や語彙の正確さをより重視するもの、またはそういった正確さに合わせて言語機能や多様な話題への対応力まで総合的に判断するものなど様々です。スピーキングテスト採用の際は、会社が本当に知りたい英語力を測るテストを選ぶことが大変重要です。
スピーキングテストの評価方法は、主に2種類です。
コンピュータやAIによる採点は、今後さらに増えることが見込まれます。一方、コミュニケーションという複雑なタスクの評価に関しては、人による評価に長い歴史があります。採点者のトレーニングをはじめ、長年にわたって蓄積されたノウハウに、高い信頼性が寄せられています。どちらにも優れた点がありますので、それぞれの特徴を理解したうえで、テスト選択の参考にしましょう。
試験の結果は、書面(紙)で郵送されてくるか、オンラインで確認をします。
テストを受けてから、結果が出るまでに要する時間は、速ければ受験後5分くらいから、長い場合では2週間くらいと、テストによって幅があります。一般的にコンピュータ採点のテストは、短時間で結果がわかります。
評価が何点刻みで出るかも、テストによって異なります。あまり大きなレベル刻みだと、社内で受験した多く人が同じレベルに偏ってしまい差が見えません。受験後の学習による伸びもわかりづらいので、注意が必要です。
評価レポートに含まれる内容も、テストごとにさまざまですが、点数と受験者が該当するレベルの概要は、ほとんどのスピーキングテストで評価レポートに記載されます。中には、個々の受験者の強みと弱みなどの個別フィードバック、レベルアップのための具体的なアドバイス、効果的な自己学習法の紹介などが含まれた、学習者目線の試験もあります。
試験結果をCEFR基準で出しているテストもあります。CEFRとは、日本語で「外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠」と呼ばれる国際指標です。多言語社会のヨーロッパで、すべての言語に適用可能な学習状況の評価や指導の方法を、「ものさし」として提供することが本来の目的です。CEFRは世界で広く認知され利用されていますので、海外赴任などに際し、「この社員の英語力はCEFRのB2レベルです」などと提示することもできます。
<参照(英語)>
https://www.coe.int/en/web/common-european-framework-reference-languages
試験結果としてどのような情報を期待するかも、スピーキングテスト選びのポイントです。
前述の通り、各テストの違いを十分に理解して自社の目的に合ったスピーキングテストを選ぶことが大切です。それに加えて、社内英検化を成功させるために人材育成や研修担当者が知っておくべきポイントを紹介します。
スピーキングテストを採用すると、受験の申し込みから試験結果が出るまでの間に、担当者は、さまざまな手配や準備を行なうことになります。細かい内容はテストごとに異なりますが、だいたいのところを知っておきましょう。
成功のポイント
大人数が一斉に受験する場合や、社内英語検定として定期的に受験をするような場合、手配の煩雑さは最小限に抑えたいものです。いくら優れたスピーキングテストでも、その運用に際して担当者に大きな負担がかかるようでは、継続的な利用はしづらいでしょう。
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5名様まで、無料サンプル受験受付中スピーキングテストの実施運営団体には、テストだけを実施する団体と、テストに加えて学習サポートを提供する団体があります。以下のようなサービスが提供されます。
成功のポイント
テストは受験するだけで終わりではなく、その先のスキルアップへの入り口になります。どんな形で社員の受験後の学習やトレーニングのサポートを行うか、テスト導入と同時に計画を立てることが社内英検の成功の秘訣です。
ますます国際競争力の強化が求められるビジネスの現場。グローバル人材の育成や組織全体の英語力の底上げが急務です。社員の現在の英語スピーキング力を可視化し、次のレベルへの学習意欲を刺激するスピーキングテストの導入がその目標達成への大きな一歩となりえます。
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